【アンドロメダ メモリー】

僕の目の前には  大空みたいに大きなスクリーンが前方にひろがっている。

 

スクリーンに映し出されているのは、

 

虹色に深い光を放つ恒星の大きな姿だ。

 

スクリーンいっぱいに迫ってくるかのようで

 

その星の光は とっても元気で 自由奔放だった。

 

スクリーンのこちら側には

 

ジャンプスーツを着た たくさんの スタッフが  あちらこちらで

 

丸い背の高いテーブルを囲んで

 

立ちながら 話をしている。

 

左前方に  緑色の線でできた  立体ホロスコープの地図が

 

回転しながら 現れた。

 

そう。

 

僕が さっき指示を出したんだ。

 

この宇宙で なにやら 前代未聞の 試みを行おうとしている領域があると

 

報告があったからだ。

 

僕のジャンプスーツの肩の部分には  18芒星が縫ってあって

 

それは、このマザーシップの管轄する広範囲の宇宙領域の 調査と指揮のお仕事をする人 の意味だった。

 

僕は、すぐ後ろで 柔らかな素材でできたクリスタル色のソファに ゆったりと腰をかけながら

 

暖かい飲み物を飲んでくつろいでいた 僕のパートナーに目で合図をした。

 

「ね。やっぱり 僕といると 面白いことが起きるだろう?」って。

 

僕と 彼女は ゆっくりと 緑色の光の線が回転しているところへと 歩いていった。

 

 

次の瞬間 僕は 急に  飼い猫の オルククが お腹を空かせてないだろうか?って思って

 

そうすると、森の中にいた。

 

黄緑の木の葉の間から 漏れる虹色の恒星の光を受けて オルククが木立の間を

 

上手に体をくねらせながら 僕の方へと歩いてくる。

 

「お腹空いたのかい。お前。」

 

オルククは 僕の前で そうだと言わんばかりに、思いっきり伸びをすると、

 

まるでライオンのように 体を大きくさせた。

 

僕の体の何倍にも大きくなったオルククに向かって

 

僕は 「こいつ いつもより 大きくなってるな」って思ったけれど、

 

すぐに オルククの眼の光を覗き込んだ。

 

眼の奥には  小さな 女の子が 座り込んでいた。

 

「そうか。閉じ込められたんだな。よし 出してやろう。」

 

僕が ハートから 緑色の光を木々の隙間の向こうに見えるレンズ雲に向けて

 

光を送ると 空から たくさんのキャンディーとリボン飾りが降り注いで

 

オルククの中にいた女の子が目の前にスクッと立って 僕に丁寧におじぎをした。

 

オルククは女の子から 額を撫でてもらうと

 

ゴロゴロと喉を鳴らしながら 喜んでいた。

 

「これで お腹いっぱいになったな。」

 

 

次の瞬間  目が痒くなって数回 眼をすばやく瞬きさせてから目をしっかり開けると

 

そこには、僕アドマスと パートナーのカレドスと  猫型存在のオルククが

 

さっきの虹色の恒星の光で明るい 大きな広間の中に現れた  立体地図を 囲んでいるところに出た。

 

僕は なにやらカレドスに 少し真剣に話をしているようだった。

 

「ここは、あんまり、今までにないことをしようとしてるから、いつものようにはいかないっぽいぞ。」

 

カレドスは ゆっくりと頷いてから 微笑みながら言った。

 

「えっとね。私もそれは わかってるんだ。で、さ。私たち 二人でいってもいいの?っていうところなんだ。」

 

アドマスは オルククの反応をチラッと見て

 

オルククがいつものように 半分夢の中にいて もうひとつの世界と繋がっているのを 確認してから言った。

 

「そうだな。今回に限っては、僕ら 二人で シリウスのゲートをくぐってその中に入っていかなくちゃいけないかもな。外からじゃ無理だ。中から光らせていくしかないな。」

 

オルククが眼を開けた。

 

アドマスとカレドスは 同時に オルククの眼を見つめた。

 

すると オルククの後ろの空間に  他のスタッフがたくさん集まってきているのと同時に

 

彼ら 彼女ら みんなが それぞれのパートナー同士でくっつきながら シリウスのゲートをくぐっていく映像へと変わっていくのが見て取れた。

 

「いつも そうだけど、今回も また 急展開ね。」

 

カレドスは そう言いながら、少しはしゃぎながら アドマスの体に 自分の体をくっつけた。

 

アドマスとカレドスは 体をくっつけながら  オルククの眠そうな表情を見ているうちに

 

意識が落ちてきて 夢の中へと滑り落ちるように 宇宙空間の中の ロイヤルブルーに輝く星のもとへ 行くために

 

虹色の光の渦を通過していった。

 

アドマスとカレドスは  光を通過する間  お互いの名前を呼びあった。

 

「アドマス!」

 

「カレドス!」

 

次第に二人の声は  宇宙の音となっていった。

 

「アドマ…カレド…アドマカレド…アダマカーダ…アダマカーダム…」

 

 

鮮やかな青い光の星 シリウスに 二人は 「アダムカドモン」の音霊とともに

 

光のトンネルを抜け出て 現れた。

 

「ここは やっぱり ほんとに 独特よね。面白いけど 案外大変かもね。」

 

カレドスがアドマスの目を見ながら言った。

 

アドマスも同じことを感じていた。

 

なんだろう。

 

意識がハッキリとしているのだけど

 

なんだか あんまり自由にできそうもないぞ って。

 

シリウスの高度文明のシップたちが 星々の周りを 取り巻いている壮大な景観の向こうに

 

オリオン プレアデス テラアース へと 流れていく

 

銀色に輝くたくさんの 光のエネルギーが 網の目のように広がって行くのが見てとれた。

 

そして、ここから もといた 虹色の恒星の世界を 宇宙空間のどこを探してもみつからないのだった。

 

アドマスは カレドスの目を真正面から見て口を開いた。

 

「とりあえず、二人でこの領域の中を 調査ってところから…」

 

そこまで 言った次のの瞬間

 

アドマスとカレドスの肉体の真ん中に 透明な光の鏡が 二人を分けた。

 

そして 気がつくと 二人は このロイヤルブルーの光に染まった世界で

 

それぞれが お互いが見えない状態になった。

 

薄れゆく意識の中で アドマスはカレドスの瞳の中に 二人のもといた世界の象徴の虹色の光を投げ入れた。

 

カレドスも アドマスのハートへめがけて 虹色の光を投げ込んだ。

 

二人は それから 別々に この宇宙領域で お互いをもとめていった。

 

 

このシリウス領域の宇宙は なんて 時間がたつのが長いのだろう。

 

悠久の時が流れて 

 

二人はテラアースで 出会った。

 

今は ここの惑星の肉体として 出会ってからは まだ1年ちょっとだけれど

 

もといた虹色の光を使って 二人で ここで感じるすべてのエネルギーを もとに戻すお仕事を始めていた。

 

「そうだよ。これでいけるね。」

 

アドマスが言うと、カレドスは 二人の中を飛び交っている 虹色の光のエネルギーを 目を輝かせながら  夢中になって感じている。

 

目を閉じて 感じてみると

 

たくさんの カップルたちが 虹色の光を 自分たちの内側から光らせて

 

この宇宙を変えていっているのが見て取れた。

 

「おお。いいね。いいね。」

 

アドマスは 急にカレドスとくっつきたくなって 彼女の体を自分に引き寄せた。

 

ここ テラアースで 二人は何度も ひとつになった。

 

アダムカドモン… 

 

ひとつになった 虹色の星の二人…

 

ここテラアースで内側から純粋な光を放つ とてつもない力を持った人として

 

たくさんの魂たちが生まれ変わっていく。

 

 

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